俳句のまち伊丹のお宝必見!柿衞文庫「珠玉の名品」展(3月1日まで)

俳句のまち伊丹のお宝必見!柿衞文庫「珠玉の名品」展(3月1日まで)

(※この記事は1月26日に作品紹介などを加筆しました)

柿衞文庫で新春特別展 開館35周年記念「珠玉の名品」展が3月1日まで開催されています。

展覧会チラシ

「古池や 蛙(かわず)飛び込む 水の音」(芭蕉)

この、誰もが知っている芭蕉の有名な句。明治の俳人 正岡子規に「芭蕉の俳諧はこの一句を限界として一変せり」と言わしめ、俳句の新境地を開いた「古池や」の芭蕉自筆の短冊も展示されています!端正に書かれた文字からは、芭蕉の繊細さが伝わってきます。

その他、井原西鶴、与謝蕪村、正岡子規・・・と、近世から近現代までの数々の著名な俳人の短冊・色紙など、日本三大俳諧コレクションと称される柿衞(かきもり)文庫の名品を一挙公開する展覧会となっています。

ちなみに、日本三大俳諧コレクションは、伊丹の「柿衞文庫」のほか、東京大学図書館の「洒竹・竹冷(しゃちく・ちくれい)文庫」、天理大学付属天理図書館の「綿屋文庫」だそうです。柿衞文庫の名品は、国語の教科書や便覧にも多数紹介されているそうです。伊丹人としては誇らしいですね!

400年に渡る俳諧の歴史の全容をコレクション展(自館が所蔵する作品による展覧会)として一望できるのは、柿衞文庫だからこそなせるワザ。江戸時代に酒造業で発展し、京・大坂にも近く、文人墨客を惹きつけた俳句のまち伊丹。そのお宝のハイライトが堪能できる、またとない機会です!

今回の展覧会では短冊や色紙、掛け軸のほか、芭蕉自ら絵筆をとって描いた絵巻物である「旅路の画巻」などもあり、ビジュアルでも楽しめます。

芭蕉の「旅路の画巻」は、芭蕉が余白に句を書き足す前に亡くなったために、絵が中心の珍しい作品。人情が生き生きと描かれる浮世絵とは違い、人の顔に目鼻は描かれていません。自然の風景の中につつましく暮らす庶民の様子から、芭蕉の世界観が感じられます。画中では、墨染の着物の人物が主人公のようにあちこちの場面に登場します。芭蕉自身を投影しているとも言われていますので、ぜひ探してみてください。

また、「東の芭蕉、西の鬼貫」と並び称された伊丹の俳人 上島鬼貫(うえしま おにつら、1661〜1738)の自筆短冊や、柿衞文庫の創設者で俳諧研究者、戦前は伊丹町長・戦後に伊丹市長を務めた岡田柿衞(利兵衛)翁ゆかりの名品もあります。

鬼貫の代表作「によっぽりと 秋の空なる 富士の山」の掛け軸は、伊丹風俳諧を代表する名品。もの寂しい秋の情景ではなく、どこかのびのびとした口語風の句や大胆な筆跡からは、伊丹風の句づくりの特徴がうかがえます。当時、伊丹の酒造家の屋敷では、広間に続いて書院の間をしつらえることも多く、こうした掛け軸を愛好する文化が育ちました。当時の掛け軸から、伊丹のまちの文化や賑わいが感じられます。

この機会に、俳諧のホ・ン・モ・ノを観賞してみてはいかがですか?
俳諧の魅力に触れる、各種関連イベントもありますよ!
この特別展の観覧券で、伊丹市立美術館の企画展も観覧できます。とてもお得な展覧会ですので、この機会にぜひ足をお運びください。

展覧会概要

新春特別展 開館35周年記念 柿衞文庫 珠玉の名品

会期

2020年1月18日(土)~3月1日(日)
月曜日休館(ただし2月24日(月・振休)開館、2月25日(火)休館)

開館時間

午前10時~午後6時(ただし入館は午後5時30分まで)

場所

柿衞文庫
伊丹市宮ノ前2-5-20

観覧料

一般700(600)円
大高生450(350)円
中小生350(250)円
※( )内は20名以上の団体割引料金
※上記の観覧料にて、隣接する伊丹市立美術館で開催中の企画展「コレクション2 浅野竹二 版を奏でる」(1月18日〜3月1日)の観覧も可能です。

記念講演会(定員に達したため、申込終了)

対談「俳句の楽しみ」

稲畑汀子氏(日本伝統俳句協会会長)・宇多喜代子氏(現代俳句協会特別顧問)
2020年2月6日(木)午後2時~3時30分
要申込

展覧会関連講座

(1)シンポジウム「開館35周年 柿衞文庫のあゆみとこれから」

2020年1月26日(日)午後2時~3時30分
コーディネーター:堀信夫氏(神戸大学名誉教授)
パネリスト:今井美紀(柿衞文庫顧問)、瀬川照子氏(柿衞文庫元学芸員)、岡田麗(柿衞文庫館長)

(2)シンポジウム「岡田柿衞をめぐる文化圏」

2020年2月8日(土)午後2時~3時30分
基調講演:「俳句と西洋」 四方田犬彦氏(映画・比較文学研究者)
コーディネーター:坪内稔典氏(俳人・佛教大学名誉教授)
パネリスト:岡田柿衞研究会の皆さん

お申し込み

1、2いずれの講座も、事前に柿衞文庫にお申し込みください(電話可)
受講料:各回/一般1,500円 ・大高生1,000円(当日観覧券付)、友の会会員500円
定員:100名

ギャラリートーク

担当学芸員による見どころをご紹介します(要観覧券・参加無料)
2020年2月20日(木)午後2時~3時

文:マルコ@ECHO

この記事は柿衞文庫公式サイトを参考に、現地観覧の上、作成しました。

イベント情報カテゴリの最新記事