伊丹郷町の東西南北を結ぶ十字路に面した「クロスロードカフェ」は、毎月入れ替わりでアート作品が楽しめるギャラリーカフェ。
9月はカジュアルなアフリカ雑貨やアートを集めた「TANZANIA-イロのある生活-」(~9月1日(日)まで)が開催されています!
そこで、ITAMI ECHOでは、今月のギャラリー出展者の竹田士郎(たけだ しろう)さんに、今回のギャラリーのコンセプトやアフリカ雑貨の魅力についてインタビューを行いました!
また、アフリカ(タンザニア)との出会いなど興味深いお話も伺いました。前編・後編と2回にわたりスペシャルインタビューをお届けします!
2019年8月18日
クロスロードカフェにて取材
【インタビュー前編】
ーまず、今回のギャラリータイトルは「TANZANIA-イロのある生活-」ですが、タンザニアはアフリカの国の名前ですよね?
そうです。今回は、タンザニアの布で僕がカジュアルに仕立てた服やバッグ、僕が現地で買い付けた雑貨やタンザニア人アーティストの作品などを展示・販売してます。
ータンザニアって、どんなところなんですか?
タンザニアはアフリカ大陸の東側でインド洋に面した国で、僕にとっては、ひとことで言うとコントラストの効いた景観と人って感じですかね。
タンザニアの公用語はスワヒリ語で、ケニアとか東アフリカの国々で広く使われてる言葉です。「ライオン・キング」の挿入歌で「ハクナマタタ(なんとかなるさ、問題ないの意)」って聞いたことありませんか?あれもスワヒリ語なんです。
ー「ハクナマタタ」の歌、知ってます!ちょっと身近になりました(笑)。では、もう一つの「イロのある生活」ってどういう意味ですか?
僕は基本的にいつも柄モノを着てますけど(笑)、普通に生活空間の中に色のあるものがあったらワクワクしませんか?意識はしなくても、なんとなく気持ちがアップになるというか。日本だと普通は白黒、ベージュなど「色じゃない色」で埋め尽くされていて、シンプル・イズ・ベストは分かるんですが、色の無い生活になってる。
ー確かに、そういった意味では、普段の生活はあんまりカラフルじゃないかもしれませんね。
そう、例えば家に疲れて帰ってた時、こういう色に囲まれた空間で缶ビールを片手に休んでたら、元気がでたり楽しい気分になったりしませんか?「イロのある生活」っていうのは、生活の中にいろんな「イロ」があるとけっこう幸せ♪という思いを込めたタイトルなんです。ここはギャラリーカフェで、食事したり話をしたり、生活空間に近い場所なので、色のあるアフリカン・スタイルを取り入れた生活をイメージしやすいかなと思って、カジュアルな雑貨やアートを揃えました。
ーなるほど、確かに店内がカラフルになって、楽しい空間になってますね!いくつか、オススメのものを紹介してください。
まず、布雑貨で一番のオススメはトートバッグです。アフリカン・ワックスプリントと呼ばれる、カラフルで独特の色柄が魅力の生地をメインに、丈夫な8号帆布を合わせてあって、自立するほど頑丈で大容量のバッグです。職業用ミシンで僕が一つ一つ手づくりしてます。
内側にも2つに分かれた内ポケットがあります。形はすごくシンプルだけど他にはなかなか無い、布自体の面白さが一番よく出ていてオススメです。
Tシャツは、タンザニア の作家にデザインしてもらったもので、これは作家を応援するプロジェクトでもあるんです。
一つは、レインボーカラーのキリンのTシャツで、「ティンガティンガ・アート」の作家が描いたものです。動物や自然などを色彩豊かにペンキで描く、タンザニアを代表する絵画スタイルなんです。僕は、このアーティストが描くキリンが大好きで、彼からはキリンの絵ばかり買ってます(笑)。
もう一つは、精霊がモチーフの作家が描いたTシャツで、彼の遊び心やストーリーのある作品が大好きなんです。
Tシャツは一番身近なアイテムで、Tシャツを1人でも多くの人が着て歩き回ってもらうことで、アーティストの宣伝にもつながるし、購入ごとにアーテイストにもお金が入るというシステムで応援してるんです。
それから、石けん好きの人にはオススメなのは、このバオバブ石けん。バオバブはサバンナ等乾燥地帯で数か月雨が降らなくても生きのびる世界有数の巨木で、その保水能力や抗酸化作用など生命力がめちゃくちゃ強い。「生命の樹」なんて呼ばれたりもするんです。ちなみに僕は、足を怪我したときに、オイルを傷口に塗ったら数日で完治したこともあります(笑)。日本では女性用の高級シャンプーに入ってたりしますよ。
この石けんは現地で日本人女性を中心に、そんなバオバブの種子オイルをメインに、実際に使いやすいように厳選したココナッツ・オイルを配合したものをベースにして、「体にも環境にも優しいもの」をと手づくりされてる無添加石けんです。香りの違いなど全部で7種類あって、油やよごれの吸着、引き締め効果のある炭を混ぜたものや、保湿効果に優れる生蜂蜜を混ぜたものなど質感はそれぞれ違います。髪の毛まで洗えるので、香り付きのものだと全身洗えてリラクゼーション効果もばっちりです♫
ーバオバブ石けん、パッケージもかわいいですね!フレグランス系のいい香りもします。
ところで、この石けんコーナーの上に並ぶ絵は、色や形が大胆でとっても個性的ですね。
これは、タンザニア人のポップアート作家、モヨ・ムヤ(Moyo Muya)の作品です。以前、日本で一緒に展示会をしたこもあります。モヨの絵は、絵の具で描くだけじゃなくて、よく見るとアフリカの布や雑誌の切り抜きなどいろんな素材が組み合わされてて、通常の絵画とは一味違った奥行き、質感とか立体感のある作風が特徴です。
ーあーホントだ!よく見ると、本物のビーズが使われてたり、ビーズの写真だったり面白い!
そうでしょ!!写真では分からない臨場感なので、ぜひ直接作品を見に来て欲しいです!
ーところで、アフリカのアーティストの作品を紹介したり扱ったりしているのは、どうしてですか?
ここにあるのは、僕がいいなー、ステキだなーって思ったタンザニア人のアーテイストの作品だけなんですけど、例えば「ティンガティンガ・アート」の作家だけでも現地には百人を超える人がいて、その他アーティストを合わせるとすごい数なんですよね。実際日本よりアートやモノづくりに関わる人は多そうなイメージ。母数はすごく大きい中で、チャンスは日本よりずっと少ない。
世界中どこでもそれは一緒ですけど、本当にごく少数の人がチャンス、才能や環境が重なってそれを生業にして生きていくことができる。そんなすごいピラミッドの中、本当に応援したいし続けていって欲しいと思う人が、みんなではないけど中にはいるんです。そしていろんなチャンスが生まれるきっかけは、購入者からの可能性だってあると思うんです。
例えばTシャツのプロジェクトでは、日本国内でもそのTシャツからによる露出や認知、可能性の機会も増えます。購入者からの喜びの声、評価はアーテイストのモチベーションを上げると思うし、入ってくるお金も運営、生活資金の足しになります。
ーなるほどー。こうしたギャラリーも少なそうだし、まだまだ埋もれてる才能がいっぱいありそうですね。
それだけじゃなくて、僕が一緒にからむことで、彼らに生まれる気づきや学びなどのいい影響、そして僕自身の学びもあって、お互いに前進できる。
Tシャツのレインボーキリンも、キリンの絵をよく描いていた彼に「レインボー(虹色)は面白いんじゃない?」とか言ったのがきっかけで生まれたものです。サンダルの作家でも、彼らは履き心地とか、ここにこのパーツが付いていると邪魔だとかまで考えてない時もあるんです。そういう見方を知ってるのと知らないのでは大きく違うし、その上でどうするかは自分で選べばいい。
現地で作品を買い付けるときも、そういう思いで選んでいることが多い。例えば、草編みのカゴは、とあるギャラリーで初めて見たときに、日本でも引けを取らないどころか…!!!と、すぐに生産者に電話して足を運び、時間を忘れて何時間も話しました(笑)。そこで、国際フェアトレード認証も取得していることを聞いたり、理念や彼らの姿勢、あり方に感動したのは忘れられません。
「アフリカのもの?じゃあクオリティも高くないし、めっちゃ安いんやろ!?」がまだ一般のイメージです。僕自身、初めはデザイン性に惹かれて連絡を取ったものの、実はその見えない裏側に、モノを通して彼らの生活基盤や、人としての自信の回復(生産地は、近隣諸国からの難民流入地域)さえも応援できる等々のお話をそのときに聞けて、学びのある時間や出会いを生んでくれたモノの一つです。ぜひ手に取って、この話を思い出しながら見てほしいです。
【インタビューの後編へつづく】
竹田さんの、タンザニアのアーティストをリスペクトする気持ちやあったかい友情が伝わってくるステキなお話でした。そうした視点で見ると、店内に展示された作品や雑貨からも、アフリカの誇りみたいなのが伝わってくる気がします。クロスロードカフェで開催の「TANZANIA-イロのある生活-」は9月1日(日)まで。一度見た人はもう一度じっくり、まだの人はなおさら足を運んでみませんか?
後編は、親指ピアノ奏者としても活躍する竹田さん自身の、音楽やアフリカ(タンザニア )との出会いなどについて、もう一歩深くお話を伺います。お楽しみに!
クロスロードカフェで展示中(〜9月1日(日)まで)のアフリカ雑貨&衣類の作家、竹田士郎さんにいろいろ聞いてみた![後編]
[取材協力]クロスロードカフェ
[インタビュアー&文&写真]マルコ@ECHO