公開日:2023年05月14日
4月23日(日)は「いたみサン・ジョルディの日-カタルーニャ流 本と薔薇のひろば-」でした。
開催の様子/フォトギャラリー(いたみサン・ジョルディの日ウェブサイト)
この日はカタルーニャでは、本と薔薇を恋人や家族など親しいひとたちのあいだで贈り合う日。
街には本と薔薇の市が立ち、朗読会などの本に関するイベントもいろいろなところで行われるそう。
伊丹の街でそんな光景を取り入れてみたくて、今回のイベント開催となりました。
緑がまぶしい三軒寺前広場が、この日はカタルーニャの広場に大変身。
「古書みつづみ書房」と「トラベリングブックストア」による古本のマルシェ。この日だけのセレクションは、薔薇の本やスペインの本、洋書など、誰かへの贈り物にしたくなる本でいっぱい。
はっと目を引く、見た目もうつくしい本がたくさんあったのが印象的でした。
薔薇の花だけの花屋さんもこの日限定です。やっぱり薔薇って「花の女王」と呼ばれるだけあって、他の花とはちょっと違います。可憐ながら気品があって気高いというか、特別感があります。
以前、ファンタジー小説作家の方が「小説に出てくるお店は、売るものを限定するほどファンタジー度が高くなる」と書いていました。つまり「文房具屋さん」より「えんぴつ屋さん」さらに「青いえんぴつ屋さん」のほうがファンタジー的存在となるわけです。
そんなことを思い出した「薔薇の花屋さん」の存在感。
「Kazuna flower life」さんがこの日はその華やかな役割を担ってくださいました。
薔薇の花は深紅とオレンジの一輪売りと、にじんだような儚い色合いのブーケだけ。
薔薇を買って「おーい奥さんにプレゼント?」なんて茶化されて、照れたように片手を上げて歩いていくひとも。赤い薔薇を一輪買って広場を歩く男のひとのかっこよさ!
カタルーニャのワイン、タパス、生ハムは伊丹が誇るスペイン料理店「SAKAGURA BODEGA」さんが出してくれました。
この日は暑いくらい天気がよくて、陽を浴びながらスパークリングワインなんかをちょっと飲みたくなっちゃうような日でした。
広場で、買った本をめくりながらオリーブをつまみつつ、スパークリングワイン……4月の日曜日の過ごし方として最高なのでは。
実際にそんなふうに過ごしている方もたくさん。すてきな週末を過ごされているなあなんて本部から見ていました。
茨城県守谷市からやってきたスペイン菓子工房 ドゥルセ・ミーナのカタルーニャの焼き菓子、パナジェッツもこの日の目玉でした。
ころんとした可愛いパナジェッツは、全7種類が12時前にはすべて完売!
普段は茨城県守谷市でしか販売していないスペイン菓子専門店のものなので、これをお目当てに来てくださった方もいました。もっとたくさん仕入れてみなさんに味わっていただければよかったと思うお菓子でありました。
そしてイベントの中心はブラインドブックス。家から持ってきた本の表紙を隠してキーワードを書き、それで他の人と交換するというイベントです。
古本のマルシェとブラインドブックスには、活版印刷の特製カードもつけました。宮城県の毛萱街道活版印刷製本所が提供してくれたカードが可愛くてシックな佇まい。
活版印刷独特の雰囲気があって、イベントの世界観を一枚のカードが表現してくれているようでした。
サン・ジョルディは本や薔薇を親しい人に贈る日。ブラインドブックスを通して「見知らぬ誰かに本を贈る」「見知らぬ誰かに本を贈られる」というイベントにしたいと思いました。
このブラインドブックスにたくさんの人が来てくださり……、書かれたキーワードもさすが!と思うものばかりでした。
みんなキーワードが上手!
棚に並んだブラインドブックスのキーワードを見ながら、「これはあの本じゃない!?」「これはきっといい本だよねー」「普段こういう本読まないけどせっかくだし読んでみようかな?」とわいわい楽しむひとびと。
ブラインドブックスは家で役目を終えた本を次のひとへ贈るイベントでもあります。なので自分が読んだ本が基本なのですが、改めてキーワードを書くとなると考えこむひとも。
ちなみにブラインドブックスの本を置いていたこのラック。
もともとは本のラックではなくて、魚の干し網なんです。こんな感じ!
こちらの干し網は淡路島の藤本水産さんからいただいたもの。こちらにグリーンのペンキを塗って加工してつくりました。いいでしょ?
本部からふと目をあげると、交換したばかりの本をわくわくと開いてみる家族がいたり、お互いの書いたキーワードを見ながら笑いあうカップルがいたり。
生ハムと白ワインを楽しみながら本を開くひと、ふらっと見に来ただったのにブラインドブックスを見たらどうしても参加したくなったと言って、古本マルシェで本を購入して急遽参加してキーワードを書くひと。
早い時間には子ども連れの家族たちが多くにぎやかで明るかった広場は、午後になるとそれに大人たちが混じってちょっとしっとりしたムードに。みんな思いおもいにサン・ジョルディの日に自分の時間を楽しんでいるようでした。
市外から来たひとが、伊丹にはこんな広場があるのか、うらやましいなあと本を片手に緑を見上げて言っていました。
そんな三軒寺前広場は確かにいつもの様子とは少し違って。
少し非日常のような、でもこれが日常の一部だったらすてきだなあと思うような光景の連続でした。
来年のことは未定ですが、また開催できたらと考えています。
そのときは4月の週末、カタルーニャの広場で会いましょう。
いたみサン・ジョルディの日-カタルーニャ流 本と薔薇のひろば-
Written by なみま