公開日:2023年11月07日
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皆さんはモズという鳥をご存知でしょうか? ズズメよりひとまわり大きな体、タカのように先が曲がった嘴、木の枝などにとまってフリフリと動かす長い尾が特徴の身近な野鳥です。漢字では百舌鳥とも書き他の鳥の鳴き真似が上手なことでも知られます。モズは秋の訪れとともに山から里へおりてきます。
そして木の上、建物の屋根の上などで「キョン、キョン、キーキキキキ」と甲高い声で鳴きます。これはモズの高鳴きと呼ばれ秋の風物詩にもなっています。モズは秋から冬にかけて田畑、公園緑地、河川敷などで縄張りを張って暮らします。高鳴きは縄張りを宣言するためのものです。
高鳴きが聞こえ出すと間もなくして、身近な草木の枝先に虫やトカゲなどの小動物が刺さっている光景が観察できるようになります。偶然?イタズラ?いえいえ、それはモズのはやにえです。モズが捕まえた獲物をすぐに食べずに枝に刺して置いておくものです。はやにえ(早贄)という言葉を辞書で調べると初物を献上するという意味があり、モズが捕まえた獲物を天に献上していると見立て「モズのはやにえ」となったようです。
モズは何故そんなことをするのでしょう?餌の少ない冬場の保存食とするため?縄張りをアピールするため?ただ遊んでいるだけ?など様々な理由が考えられてきました。2019年、この謎について大きな発見がありました。
モズのオスは縄張り内のはやにえを繁殖期直前に食べ、そのエネルギーで多様な歌声でメスにアピールし、より早く恋を成就させ子孫を残していたのです。つまり「はやにえをたくさん作り、食べたオスはメスにモテモテ」ということです。
モズのはやにえは決して珍しいものではありません。明るい林の縁、河川敷や公園、田畑のあぜ道を歩くだけで十分。モズの姿や声を確認した上、とまりそうな場所を想像しながら……
をポイントに探してみましょう。はやにえを見ているとモズの獲物の多様さ、狩りの巧みさに感心し、はやにえにある種の芸術性すら感じることがあります。そして自然界の命の繋がりに気づくのです。草を食べていたバッタが、バッタを食べていたカマキリが、虫たちを食べていたトカゲやカエルが、小さなハンター「モズ」の餌になっています。
はやにえは決して珍しいものではありません。はやにえ探し、是非挑戦してみて下さい。冬のお散歩の楽しみが増すこと間違いなしです。
ただいま昆虫館では企画展「モズのはやにえ リターンズ」を開催中(2023年10月25日〜2024年1月29日)です。
モズのはやにえ実物と写真あわせて300点、モズの生態、モズの貴重映像、宮本武蔵の描いたモズ、小林一茶が詠んだモズ、人間もはやにえをする?(善意のはやにえ)などなどモズにまつわるあれこれを展示しております。是非ごらんください。
(伊丹市昆虫館 野本康太)
伊丹市昆虫館
伊丹市昆陽池3-1昆陽池公園内
TEL:072-785-3582
開館時間:9:30~16:30
休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日休)
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Written by 伊丹市昆虫館