伊丹市昆虫館コラム|夜の鳴く虫採集で出会った虫や生き物

公開日:2024年09月27日


伊丹市の中心市街地で毎年9月に開催している「鳴く虫と郷町(ごうちょう)」。今年は暑い日が続きましたが、無事に会期を終えることができました。みなさま、ありがとうございました。

今回のコラムでは、今年の鳴く虫と郷町のための採集中に見られた虫や生き物を少し紹介しましょう。

展示する昆虫のうち、スズムシとキリギリス以外は主に昆虫館のスタッフが野外で採集するのですが(2023年9月のコラムではクツワムシの採集の様子を紹介しました)、特に夜の採集では、昼には見かけない昆虫や動物、ふだん見られないシーンに出会うことがあるんです。とっさに手持ちのケータイで撮った写真なので画質が良くないですがお許しください。

ガはよく見るのですが、大きく立派なガを見かけると嬉しくなります。これは林際の草に止まっていたハグルマトモエという大型のガです。
虫の鳴き声を追って深い草むらをかき分けていたら出会った小さなネズミ。草むらにすむカヤネズミのようです。すぐには逃げず、こちらの様子を見ていました。
サトクダマキモドキの産卵シーン。林にくらす大型のキリギリスの仲間です。お尻の先を顔の近くまで曲げた姿勢で枝に細長いミゾを掘り、その中に卵を一列に並べて産み付けます。産み付けた卵は見つけたことがありますが、産んでいるシーンは初めて見ました。

こうしたシーンに出会えると得した気分になって嬉しいものです。また自分で見つけて観察することは貴重な経験にもなります。しかし夜間や足元の悪い場所での採集は危険が伴いますから、もし行きたくなったらそれなりの装備をととのえ、経験のある人と一緒に行くなどしてくださいね。

採集しているところ。真夏でも長袖長ズボンで帽子をかぶり、ヘッドライトの光で虫を探しています。今年は夜も暑かったので汗だくでした。
草の上にとまっていたヒロバネカンタン。

今年は採集場所の様子が変わって虫がいなくなっていたり、台風や雨で外に出られなかったりしてなかなか虫が集まらず、直前まで連日採集に出かけていました。なんとか集まったのは開催3日前。とはいえ焦って数えたら18種と3種オーバーでした。プレッシャーを感じながらの採集ですが、虫の声たよりに居場所を探り当て、捕まえたときの喜びはひとしおです。

こうした採集ができるのも、育つことができる豊かな環境があってこそです。

来年も虫たちが元気に育ってくれていることを願っています。

(伊丹市昆虫館館長 坂本昇)


伊丹市昆虫館
伊丹市昆陽池3-1昆陽池公園内
TEL:072-785-3582
開館時間:9:30~16:30
休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日休)

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