公開日:2025年02月11日
アウトドア用品店へ行くと、色とりどりの、それもビビッドな色調の衣類や装備が盛りだくさん展示販売されています。
需要があるといえばそれまでですが、なぜ需要があるかというと、おそらくフィールドで「目立つ」ためなのではないでしょうか。
ここでいう「目立つ」は、注目を集めるという意味ではなく、遭難時に発見されやすく、落とし物を発見しやすいという意味です。
有名な山岳の登山道では、赤、黄、緑、青などの衣類や装備を身にまとった人々を本当にたくさん目にします。
実際、エベレストの頂上直下の雪上では、「目立つ」色の装備をしたままの、すでに動かなくなった人々を多数目にするそうです(怖)。
ところで、屋外で視認性が高いと評価されている色はセーフティオレンジという赤みがかったオレンジ色で、鉄塔などの構築物や、狩猟者の衣服・装備品に採用されています。
さて、筆者のフィールド活動の主戦場は、森林の中です。
大径木のキャノピー(樹冠)で空は見えず、林床の落葉や土壌、樹幹の茶色、そして生い茂る葉の緑色に彩られた空間。
そこを昼も夜もなく歩き続け、目的の昆虫を探し出すのです。
このような空間では、前述したセーフティオレンジなどの暖色系が絶対に「目立つ」かというと、そうではありません。
季節や、落葉樹林か常緑樹林かにもよりますが、黄葉や紅葉している葉はところどころにあり、また岩石や土壌も赤みがかっていることもあります。
では、いったい何色がこのような空間で絶対に「目立つ」のでしょうか。
すべては私の経験論からなので、科学的な検証をしていないことを先にお断りしておきますが、回答としては青色系だと考えています。
このような空間では、自然の色として青色や水色はほぼ存在しません。
このため、筆者の調査用の25Lザックやデジカメ用ポーチは、林床に置いてもすぐに見つけられるよう、青色系にしているのです。
伊丹市昆虫館 田中良尚(学芸員)
伊丹市昆虫館
伊丹市昆陽池3-1昆陽池公園内
TEL:072-785-3582
開館時間:9:30~16:30
休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日休)
Written by 伊丹市昆虫館
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