公開日:2025年12月12日
ただいま昆虫館では企画展「伊丹の自然」を開催中です。
今回は水生生物にスポットをあてた展示です。

水生生物とは水の中や水面などの水辺にくらす生きもののことです。
昆虫でいえばアメンボ、タガメ、ミズカマキリ、ゲンゴロウ、トンボ(ヤゴ)などで、水生昆虫と称されます。
ひろく動物に目を向けると魚、エビやカニ、カエルやカメなどがみな水生生物です。
周囲5キロ四方の小さな街、伊丹には山はありませんが、緑豊かな緑地や公園、池や河川敷、わずかに残る水田などがあります。伊丹の水辺環境に目を向けると、市内には東端に猪名川、西端に武庫川という大きな川が流れ、2つの河川に流れ込む駄六川、箕面川や天神川、天王寺川などの小さな川があります。
猪名川と武庫川に挟まれた伊丹台地には、昆陽池をはじめ瑞ヶ池、緑ケ丘公園、西池・黒池など灌漑用のため池を起源とする水辺もあります。
今回はこれらの水辺にくらす多様な水生生物を集め、その生体を数多く展示しています。展示生物は昆虫館スタッフだけでなく、伊丹市立伊丹高等学校生物部、兵庫県立伊丹西高等学校生物研究部、兵庫県立伊丹北高等学校自然科学部のみなさん、昆虫館友の会会員さんなどに協力いただき採集しています。
今伊丹市内の水生生物を見るなら伊丹市昆虫館です!メダカやフナ、ドジョウなど魚類だけでも約20種、スッポンやイシガメなどカメ4種、ザリガニやテナガエビ、大きなモクズガニなど甲殻類もご覧いただけます(生きものですので突然死んだりして見られないこともあります)。ぜひこの機会に昆虫館の水生生物たちに会いに来てくださいね。


企画展「伊丹の自然」は2025年10月2日〜2026年1月19日の期間(年末年始、休館日を除く)、伊丹市昆虫館2階第二展示室にて開催中です。

スッポン(爬虫類:スッポン科 噛みついたら雷が鳴るまで放さないと言われます)

ミナミメダカ(魚類:メダカ科 童謡メダカの学校で親しまれるとても身近な魚、今では絶滅危惧種です)

ウナギ(魚類:ウナギ科 土用の丑の日に親しまれてきたお魚、絶滅危惧種となり、高級食材でもあります)

ゴクラクハゼ(魚類:ハゼ科 体中に水色の模様が散りばめられた美しい魚です)

オイカワ(魚類:コイ科 市内ではとても身近な魚、恋の季節のオスはとても美しくなります)

ムギツク(魚類:コイ科 体側の黒い1本線が目立ちます、他の魚に托卵することで知られます)

モクズガニ(甲殻類:イワガニ科 中華食材のシャンハイガニの仲間です、モズクではなくモクズです)

アメリカザリガニ(甲殻類:アメリカザリガニ科 幅広い年代にザリガニ釣りで親しまれてきました、現在は条件付特定外来生物に指定されています)

ナゴヤダルマガエル(両生類:アカガエル科 トノサマガエルより体型の丸いカエル、兵庫県では絶滅危惧種になっています)

オオクチバス(魚類:サンフィッシュ科 ブラックバスの名で有名な外来魚、特定外来生物に指定されています)。
*特定外来生物とは外来生物のなかでもとくに日本の生態系に悪影響を及ぼすおそれのあるもの。外来生物法で飼育したり、栽培したり、販売したり、移動したりすることなど様々なことが規制されています。
*条件付特定外来生物とはアカミミガメやアメリカザリガニが該当します。一般家庭でペットとして飼育することができます。ただし外へ逃すことや売り買いをすることなどは禁止されています。
(伊丹市昆虫館 野本康太)
Written by 伊丹市昆虫館