公開日:2022年03月02日
現在、我が家では空前の『平家物語』ブームです。
それというのも、フジテレビでアニメ『平家物語』が放送されているから。
国語の教科書で那須与一のとこ読んだなーくらいの気持ちで、なんとなく観てみたら、これがおもしろい!
原作は河出書房新社から出ている古川日出男訳の『平家物語』。
キャラクター原案が高野文子ということもあって、やわらかいタッチで描かれた人物や風景がとてもうつくしく、古典でありながら堅苦しくなく物語を楽しむことができています。
動く絵巻物を見ているようなアニメ作品です。
ただ例の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の出だしで有名なとおり、『平家物語』は平家の滅びを描いた作品。
アニメでも平家のひとびとがみんなそれぞれ魅力的に描かれてるだけに、新たな登場人物が出るたびに、「このひとも死んじゃうのかあ……」という気持ちに。
最近ではどんどん平家が追い詰められていくシーンに心が苦しくなり、イオンモールで合戦に巻き込まれるという夢を見て夜中に起きる始末。(影響を受けやすいのです……)
2歳の息子も、平清盛の口癖「おもしろかろう?」を言って喜ぶようになってしまい、行く末が心配になってきます。
そんな感じで平家ブームの我が家ですが、実は『平家物語』は伊丹にもちょっと関連があったという情報が。
平清盛が京都から福原(現在の神戸市兵庫区・中央区付近)に遷都をするのですが、遷都の候補地に、伊丹も挙がっていたというのです。
福原遷都はうまくいかず、半年で京都に帰るのですが、清盛は新首都の候補地として、小屋野(こやの)(昆陽野(こやの)・現在の伊丹市)、印南野(いなみの)(現在の加古郡稲美町を含む近郊)の2カ所も検討していたそうで、現在の昆陽寺があるあたりがそこではないかと言われているそうです。
そう言われてみると、確かに伊丹は西国街道があって交通の要所でしたし、京都からも大阪からも割と近いし。
気候も良いから、夏も冬も京都より暮らしやすそう。
以前、ある大学の先生が歴史の魅力はすべてが明らかではないところ、想像に「あそび」があるところ、と言っていたのを思い出します。
伊丹に都を移して暮らしていたら、平家のみんなも「わりといいね!」となったかもしれないなあ…… なんて考えてしまいます。
アニメ『平家物語』では、戦いのシーンももちろんありますが、人々の日常の様子が細やかに描写されているんですよね。
子どもたちは、雪の日には火鉢で焼いたお餅を食べたり、海で水遊びを楽しんだり。平家の兄弟たちがじゃれあう様子がとっても可愛い。
大人たちも、明日きついだろうなーと思いつつも夜遅くまで今様(当時の流行歌)を歌って飲んじゃったり、相手にされていないとわかりながらも、憧れの人が忘れられずにいたり……。
そんな平家のひとびとの暮らしの様子はわたしたちと変わらないようにも思えて。
きっと長い時間ではなかったとは思いますが、平家の一族の「暮らし」の続きが、この伊丹であったのかもしれない……。
『平家物語』という思わぬところで伊丹の地名が出てきて、そんなふうに歴史の「あそび」を楽しんだひとときでした。
1月12日(水)よりフジテレビ「+Ultra」にて
毎週水曜日24:55〜放送(他各局でも放送)
FODにて全話先行配信中
各種配信サイトでも順次発信
Written by なみま