公開日:2022年12月03日
11月19日(土)から、市立伊丹ミュージアムで「2022伊丹国際クラフト展『酒器・酒盃台』」がスタートしています。12月25日(日)まで。
伊丹ミュージアムがオープンする前、伊丹市立工芸センター開館当初(1989年)より、公募展「伊丹クラフト展」が開催され、1998年からより規模の大きな国際公募展「伊丹国際クラフト展」となりました。
海外からも応募があり、2001年以降は、「ジュエリー」「酒器・酒盃台」として毎年交互に開催されています。
伊丹ミュージアムとしてリニューアルオープンした今年(2022年)からは、「新しい時代の、新しい表現が伊丹から発信され、工芸芸術のさらなる発展の一助となることを願って開催する」とのこと。
リニューアル工事中は募集や展示もお休みとなり、3年ぶりに開催される今回23回目では、「日本酒で乾杯するシーンを愉しむ酒器」「楽しい酒の場を演出するための酒盃台」として204名より総数1,152点の応募があったそう。うち、海外からの応募は、8ヵ国44名で、注目の高さを伺えます。
審査の結果は、こちらでご覧いただけます。90名が入選し、うち8名が入賞されたそうです。
大賞は、「夜光貝ジュエリー シェリーナ」當眞清乃(とうま きよの)さん(沖縄県)の『清流貝盃』。チラシに使われている写真がその作品ですが、夜光貝で作られた貝盃がとても素敵です。
當眞さんのウェブサイトによると、夜光貝は、「熱帯から亜熱帯域のインド太平洋区に分布し、日本近海では屋久島・種子島以南の暖かい海域で生息するリュウテンサザエ科最大の貝」とのこと。
「平安時代の書物に儀式の際に器や盃として利用されたと記されている」そうで、清少納言の『枕草子』にも、「公卿・殿上人、かはりがはり盃とりては、はてには屋久貝といふ物して飲み立つ」とあり、夜光貝でお酒を飲む光景が記されているそうです。
清琉貝盃への想いについても次のようにおっしゃっています。
琉球の海で育まれた夜光貝が、海を超え、時を超えて永遠に生き続け、貝盃の歴史を後世へ紡いでいく。その想いをこめて清琉貝盃を制作しました。
「悠久の歴史に想いを馳せ、月見酒を嗜む」そんなロマン溢れる盃でお酒を楽しんでいただけると幸いです。
當眞清乃さんウェブサイト
ご両親が宝石店を営まれていて、幼いころからジュエリーというものが身近にあったという當眞さん。ウェブサイトの「作り手」というページによると、「いつしか両親と同じ仕事に憧れている自分」があり、「自分にしかできない表現ってなんだろう」と考えるようになったそう。
「今、夜光貝に出会ってジュエリーにしているというその根底には、ある飲食店のオーナーさんの『生まれ育った土地の素材を生かしたものづくりをしてそれを伝えていけたらいいね』という言葉もあったからだと思う」と書かれています。
このページは、「夜光貝を選んでいただいたお客様の想いにそって、その大切な空気感を感じながら、贈る方の気持ちが届くようなものづくりを目指していく」という言葉で締められており、今回大賞を受賞された作品を見ると、當眞さんの作品に対する想いが感じとれそうです。
當眞さんのInstagramでは、日頃の活動の様子や作品を見ることができますので、併せて是非ご覧になってみてください。
今回の酒器・酒盃台展、大賞以外の作品も素晴らしいものだと思います。作家さんの背景や想いも感じながら是非ご覧になってみてはいかがでしょうか?
関連イベントとして、12月3日(土)と4日(日)には、旧石橋家住宅1階のカウンターで、「師走を愉しむ 日本酒喫茶」が開催されます。
イタミ朝マルシェにも出店している「Itami Bakery」による「白雪の日本酒『伊丹諸白』を使用したシュトーレン」と、白雪と老松の日本酒を楽しめる企画です。
「これまでの伊丹国際クラフト展の入選作品やミュージアムゆかりの作家のうつわで味わってください」とのことですのでのぞいてみてはいかがでしょうか?
12月3日(土)4日(日)
13:00~18:00(ラストオーダー17:30)
飲食代実費
2022年11月19日(土)~12月25日(日)
市立伊丹ミュージアム
展示室6
10:00〜18:00(入館は17:30まで)
月曜休館
無料
市立伊丹ミュージアム
[伊丹ミュージアム運営共同事業体/伊丹市]
小西酒造株式会社
伊丹老松酒造株式会社
株式会社光陽社
佐竹ガラス株式会社
伊丹酒造組合
近畿経済産業局
兵庫県
一般社団法人総合デザイナー協会(DAS)
株式会社ベイ・コミュニケーションズ
伊丹まち未来株式会社
審査員長 小清水漸(彫刻家・京都市立芸術大学 名誉教授)
伊藤隆(金工作家・伊丹ジュエリーカレッジ 名誉講師)
小西新右衛門(小西酒造株式会社代表取締役社長)
崔宰熏(デザイナー・愛知県立芸術大学 教授)
外舘和子(工芸評論家・工芸史家・多摩美術大学 教授)
松島巌(ガラス工芸作家)
山村慎哉(漆工芸作家・金沢美術工芸大学 教授)
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