ルート・ブリュック展の魅力を学芸員の岡本 梓さんに聞いてみた![後編]

2019年10月13日

現在、伊丹市立美術館工芸センターで好評開催中の展覧会「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」(~10月20日まで)。

伊丹市立美術館・工芸センターで展覧会「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」開催中!

ITAMI ECHOでは、この展覧会の「仕掛け人」で、これまで数々の挑戦的とも言える展覧会を手がけてきた伊丹市立美術館の学芸員、岡本 梓(おかもと あずさ)さんにインタビューを行いました!

インタビュー前編では、ルート・ブリュックの魅力について、たっぷりとお話いただきました。

つづいて後編では、岡本さんから伊丹市立美術館のコンセプトや独自の戦略、また学芸員としてのお仕事などについて伺います!

普段はなかなか聞けない美術館の裏側の話もあり、知れば知るほど伊丹市立美術館が好きになりますよー!!

  1. 企画のマニアックさや面白さが知られて、全国から伊丹市立美術館のファンが集まる。
  2. ファンの期待にこたえて、限られた予算内であってもこだわりの広報ツールを作る。
  3. 思いを共有する美術館とのつながりが大事。
  4. 働きはじめた時は伊丹市立美術館の変わり目。工夫を重ねて今の美術館のイメージが定着。
  5. 進路など自分のことに悩む高校生こそいろんな経験が大事で、ぜひ美術館をその経験の一つに。

企画のマニアックさはすでに全国区!

ー伊丹市立美術館のコンセプトのようなものをお聞かせください。

そうですね、伊丹市立美術館の特徴の一つとして、まだ多くの人には知られていない作家を発掘して紹介するという活動があります。過去の展覧会で言えば、エドワード・ゴーリー(1925-2000、米国の画家)やソール・ライター(1923-2013、米国の写真家)のような作家を紹介してきました。

展覧会を企画するときに、京都・大阪・神戸などの大きな美術館では開催できないような少しマニアックな作家だけれども、「知る人ぞ知る」とも言える素晴らしい作品をどんどん紹介していこう、というのが私たちのコンセプトなんです。だから、今回のルート・ブリュックもそうですが、ぜひ紹介したいと思って開催を決めました。

ー確かに、かなり挑戦的な展覧会をやっているとの印象を持っていて、いつも楽しみにしています。市外の友人にも、伊丹の美術館は面白いと言われることがあって、そんな時はちょっとうれしいです。

そうなんです!ありがたいことに、そうした評判がこの2~3年で定着してきています。知らない作家だけど伊丹市立美術館が紹介しているんだからきっと面白いはず、と思って来館される方が増えているんです。このちょっとマニアックなコンセプトが全国区になってきていて。

伊丹市民に来てもらいたいのはもちろんですが、全国から多くの人々が伊丹市に来るきっかけを生むことも私たちの役割です。全国から注目される美術館を市民が誇りに思ってくれたらいいなと考え、意識的に全国に向けても発信しています。

ー美術館自体のファンが全国で増えてきている、ということですか?

ええ、北海道からもわざわざ飛行機に乗って来られる方もいらっしゃいます。伊丹空港がすぐ近くにあり、ある意味で全国どこからでも来やすい場所ということもあって、東京をすっ飛ばして伊丹に来てくれる方も結構多いんですよ!

家のような美術館?

それから、企画のマニアックさだけではなく、当館の親近感あふれる空間が好きという方もいらっしゃいます。美術館としては中規模で、建物自体はそんなにとんがった建築ではなくて町家・酒蔵風なので、アンケートで「家みたいで落ち着く」と書いていただくこともあります(笑)。

ー確かに、一見すると美術館って分からないですよね。この付近を歩いていて「美術館はどこですか?」と聞かれたことが何度かあります(笑)。

そういう、構えなくても大丈夫で、家みたいに落ち着くことができる親近感のある空間も、どうやら全国から来られる方の中では定着しているみたいです。増築を重ねたちょっと迷路みたいな構造なので、初めてだと迷われる方も多いですが(笑)。

中規模の美術館同士のつながり

ー先ほど、美術館としては中規模というお話でした。この春にルート・ブリュック展を開催した東京ステーションギャラリー(東京駅構内で開設され、2012年にリニューアルオープンした美術館)も、私は別の展覧会で行ったことがありますが、伊丹市立美術館と規模が似ていますよね?

そうんなんです、まさに同じくらいで、あちらもかなり個性的な活動をされています。でも、立地がとても良いという特権を持っていらっしゃいます。東京で、しかもあの好立地で、かつ大き過ぎないちょうど良い規模というのを活かして面白い展覧会をされています。今回のルート・ブリュック展だけでなく、「鴨居怜展」など東京ステーションギャラリーさんとは巡回展でお仕事をご一緒したことが度々あります。

ー規模が同じだと、コンセプトなどでも共通する部分が多いですか?

開催する展覧会の規模が近いので、目指す方向性、コンセプトが似てくるのでしょうね。特に巡回展の時は展示する作品数の問題がありますので、規模が近い美術館が巡回会場としてそろいます。

大きい美術館では予算的にも作品数的にも大規模な展覧会が開催できますが、中規模になるとそういうわけにはいきません。その分、コンセプトや個性を大事にしなければいけないというように、全国の美術館・博物館の中で自然と棲み分けがされています。だから、同じ気持ちを共有する美術館が全国にあって、学芸員同士で結構つながっているんですよ。

写真撮影OK!どんどん撮って

ー少し話は変わりますが、今回、2階の展示室では作品の写真撮影が可能になっていますね。

昨今、作品を撮影したいという要望が高まっていますが、今回はセラミックの作品ということもあって、安全性が確保できている展示室のみ撮影OKとさせていただきました。チラシなどでもメインとなっている作品「ライオンに化けたロバ」などを展示する2階は、展示ケースに作品が入っているものが多く、撮影OKとしています。

一方で、地下の展示室では展示台の上にむき出しの状態で作品が置かれているため、万が一、携帯電話などの落下があった際に作品が壊れてしまいますので、誰もが安心して鑑賞できるよう、そして静かに作品と対面できる空間となるよう、写真撮影は禁止にしました。撮影に関してはお客様からは色々なご意見をいただいておりますが、せっかく作品と対面できる機会なので、まずは作品を間近でじっくりご覧いただき、鑑賞の思い出としてマナーを守って撮影をしていただけると嬉しいです。

TWRB:175, Rut Bryk, Leijona, 1957, metallioksidit, 40.7×52.4×1.8

ー最近は、作品の写真撮影が可能な展覧会が増えていますね。

私たちも、今まで広報ツールをどうするか悩んできましたが、写真撮影OKにすることで、みなさんが次々とSNSで発信してくれます。とてもありがたいですし、どんどん発信して!と思っています(笑)。

広報ツールへのこだわり

ー広報と言えば、伊丹市立美術館の展覧会チラシって、いつもデザインが面白いですね。紙質だったり、蛍光色を使っていたり、結構攻めてるなーと感じて楽しみにしています。

ありがとうございます。限られた予算内でいかに印象に残るものを作るかという視点で工夫するようにしています。皆さんに「見に行きたい」って思ってもらえるチラシを作りたいですし、チラシ自体も大事にしてもらいたいので、たとえ広報物であっても展覧会の大事な要素の一つとして、こだわって作るようにしています。

チラシだけでなく、チケットを楽しみにしてくれる方も多くて、形や紙質にこだわったりするんですが、時々、普通の形にすると「普通の四角ですね」って言われちゃうようになりました(笑)。そういうファンも増えてきているので、期待されているなって感じています。

ファンの期待にこたえて

ーいろんなかたちでファンが増えてきているんですね。

そうなんですよ。今回のルート・ブリュックでも、伊丹会場では作品の展示順や空間、雰囲気が変わるだろうと思って、東京でご覧になられた方がもう一度見に来られたこともありました。

ー巡回展でも、美術館によってある程度展示の仕方を変えることが可能なんですか?

はい、ある程度は美術館側に裁量が任されていて、各館の担当学芸員が考え、自分の美術館にあわせて再構成することができます。特に当館は、展示室がフロアで分かれているなど建物自体が難しいですから、構成を作り直すことが多いです。

ーなるほど、展示室が2階と地下に別れているので、展示も変えざるを得ない?

そうです。また、作品の入れ替えなども学芸員の判断で可能です。展示だけでなく、チラシなどの広報物についても同じで、巡回展だけれどもデザインを変えることもあれば、チケットだけデザインを変えることもあります。今回のルート・ブリュック展では、東京会場で作られたコースターを伊丹会場でも作り、取り上げる作品画像を変えて、種類も3種類に増やしました。1種類と3種類とでは費用的には意外と変わらないのですが、ルート・ブリュックが、蝶の研究者だったお父さんへのオマージュとして、まるで標本のようにリアルな「蝶」の作品を創作したことから、みなさんにもぜひ蝶のコースターを集めてもらいたいなと思って、種類を増やしました。

TWRB:173, Rut Bryk, Perhossommitelma, 1957, fajanssi värilasite ja pigmentti, 50.5×37.8×5.6cm, Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation, EMMA -Espoon modernin taiteen museo. Kuva: Ari Karttunen / EMMA

ー今回のルート・ブリュック展のチラシは独特の手触りですね。

これ、表面が凸凹するように加工しているんですよ。セラミックの立体作品を、紙の平面に載せて紹介するときに、できるだけ立体感が出るようにとデザイナーさんが考えてくれました。

学芸員のお仕事って?

ーせっかくなので、学芸員のお仕事について教えてください。

美術館の学芸員として、展覧会を組み立てる以外にも、所蔵品の管理や調査を同時並行でやっているので忙しい仕事ではあります。当館はスタッフが少ないので、広報や財務についても学芸員が行なっています。

ールート・ブリュック展の展覧会準備が始まったのはいつ頃ですか。

うーん、もうずいぶん前のことですね。2~3年前だったかな。展覧会を実際に組み立てていくのは1年ぐらい前からですが、どういう展覧会を開催するのかを検討するのは2年ぐらい前ですね。ルート・ブリュックのような巡回展もあれば、伊丹市立美術館で単独開催する特別展などもそのぐらい前から考えはじめます。

ーマニアックでも面白がってくれるお客さんが付いているので、思い切った展覧会ができるということもあるんですか?

そうなんですよ。とてもありがたいことに、むしろ、そんな期待も感じるようになりました。

ー京阪神エリアには、伊丹のような中規模の美術館が多くありますが、開催を検討する展覧会が他の美術館とかぶることはありますか?

そうですね、やっぱりその意味では美術館同士、特に規模の近い美術館との争いになります。たとえば巡回展ならば関西会場として一つの美術館だけで開催されますから、エリア的に近い他の美術館で先に開催されてしまったために、当館では開催できないと断念することもあります。

伊丹市立美術館の大きな変わり目

ーところで岡本さんは、いつから伊丹市立美術館で勤務されているんですか?

働きはじめてからもう12年が過ぎました。入った頃がちょうど伊丹市立美術館の大きな変わり目の時期で、美術館の運営が市から財団(当時の伊丹市文化振興財団。現、いたみ文化・スポーツ財団)に変わり、美術館のイメージも変わりつつありました。

たとえば1年に1本は絵本の原画展をやって子供たちや家族連れにも来てもらえるようにしたり、一方でちょっとマニアックな作家も組み入れてみたりというように、1年の中でバランス良く組み立てるということを続けてきました。

ー夏の絵本原画展は定番になりましたね。私も子どもが小さいので、今年は何の絵本をやるんだろう?って毎年気になります。

ありがとうございます。去年はレオーニ(1910-1999、イタリアや米国で活躍した絵本作家。代表作は『スイミー』など)とブルーナ(1927-2017、オランダの絵本作家。代表作はミッフィー(うさこちゃん)の絵本シリーズなど)をやりましたが、伊丹市立美術館で絵本展を開催することがだいぶ定着してきたように思います。

ー私も、ここ数年ですが、伊丹市立美術館の面白さに気づいてきて、美術館によく来るようになりました。

ありがとうございます。でも、まだまだかなぁと思う部分もあって。美術館に行ったことがない方や、知ってる作家なら行ってみたいけど知らない作家には抵抗を持たれる方もいると思います。伊丹市民からもっと美術館に親しみを持ってもらえるよう、まだまだ頑張らないといけない、特に若い人たちにもっと来てもらいたいと思っています。

一番見てもらいたいのは高校生

ー若い人たちに来てもらいたいというのは、どうしてですか?もう少し詳しくお聞かせください。

そうですね、若い人の中でも特に高校生に来ていただきたいですね。小学生や小さい子供たちの場合は家族に連れられて、あるいは学校の授業として来ることが多く、「本物の作品を見る」という美術体験はとても大切ですが、作品を理解するのはまだ難しい面があります。それが、高校生ぐらいになると自分の感性で作品と対面し、自分で感じて考えることができるので、そういう若者たちにこそ美術に接してもらいたいなと思います。高校生の時は進路など自分のことについて悩む時期なので、答えを見つけに来るっていうと大げさですが、とにかく色々な経験をするのはとても大事です。その一つに美術を組み込んでもらえたら嬉しいなと思います。

TWRB:482, Rut Bryk, Värillinen aurinko, 1969, fajanssi uniikki, taideteollisuus, 113x110x6cm, Photo: Ari Karttunen/EMMA, Tapio Wirkkala Rut Bryk säätiön kokoelma.

別に将来、作家になってもらいたいとか、美術を好きになってもらいたいとかではなく、異なる国や時代の作家を知って、「あぁ、同じように苦しみ悩んでいる人もいるんだな」とか、「こういう世界、社会、生き方もあるのか」と感じてもらったり、あるいは、何か大きな発見をしないまでも、後々それを思い出したり、人生の糧としていつか自分のためになることもあると思います。今、美術館に来る高校生は多くないので、今後の課題ではありますが、ぜひ高校生を対象に何かできればと考えています。思い悩んでいる高校生、未来に可能性が広がっている若者たち、どんどん観に来て!って感じです(笑)。

音楽と美術はつながっている

ー岡本さんご自身は、高校生の時によく美術館に来られてたんですか?

小さい頃から家族に連れられて来てはいたけれど、もともと私自身は美術が好きだったというわけではなく、むしろピアノをやっていたこともあって音楽に親しんできました。ただ音楽だけでなく美術や演劇などの芸術に、生活の中で自然と親しむ家庭環境だったので、美術館にはよく連れて行かれました。自分の人生にとって美術や芸術との関わりを意識したのは、それこそ大学の進路を決める高校生の時です。

でも、例えばルート・ブリュックの作品を見ていると、音楽が聴こえてきたりと、自分の中で音楽と美術がつながることがあります。偶然ではありますが、とても幸運ですよね。過去の経験がどのように花咲くのかは人それぞれ違いますが、だからこそ高校生や若い人たちにいろんな経験をしてもらいたくて、ぜひ美術館で様々な作家や作品、価値観、考え方などに接してもらいたいなと思います。

来年9月から休館!?

ー最後に、美術館の今後の展開についてお聞かせください。

実は、1年後の2020年9月から一時休館になるんです。

ーえっ!?閉まるんですか?

はい。2022年4月からリニューアルオープンを予定していて、それまで1年半ほど休館します。伊丹市立博物館がこちらに移転し、総合ミュージアムという形で再始動されます。なので、来年夏の特別展をもって一時休館となります。それまでもいくつか特別展を開催しますので、みなさん休館前にお越しくださいね!そしてリニューアルオープン後の新しい美術館にも期待してください!

ー総合ミュージアム構想のことは何となく知っていましたが、美術館が一時休館になるとは驚きました。そうすると、ひとつ気になるのが、岡本さんは休館している間は何をされているんですか?

よく聞かれます(笑)。建物自体が工事に入りますので、展覧会は開催できません。その間、リニューアル後の展覧会の準備や所蔵品の調査もやりつつ、総合ミュージアムとしての再始動に向けての様々な準備を行います。また、休館中だからこそ、多くの時間が必要な研究や執筆もやろうと思っています。

休館中は今の場所では展覧会などの活動はできませんが、何かしらの形でどこかで美術館としての活動をしていますので、そちらもご期待ください。

ーそれでは、このあたりでインタビューを終了いたします。ルート・ブリュックの魅力から、美術館の裏話まで、貴重なお話をたくさん伺いました。どうもありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。

岡本 梓(おかもと あずさ)さんプロフィール

大阪大学大学院文学研究科美学研究室の修士課程を経て、2007年に当時の財団法人 伊丹市文化振興財団(現、公益財団法人 いたみ文化・スポーツ財団)に就職。伊丹市立美術館の学芸員(主査)として、絵本展をはじめ、主な担当展覧会には「LOVE POP!キース・ヘリング展」(2012年)、「ぐりとぐら展」(2015年)、「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」(2016年)、「O JUN×棚田康司 鬩(せめぐ)」(2017年)、「ニューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター展」(2018年)などがある。執筆・編集した書籍『ウィリアム・ホガース“描かれた道徳”の分析』(2016年)は第51回造本装幀コンクール「日本図書館協会賞」を受賞。今年は、春の所蔵作品展にあわせた書籍『ジョージ・クルックシャンク スケッチブック・オムニバス』(2019年)の執筆・編集と、夏に伊丹で単独開催した「スイス絵本作家 エルンスト・クラドルフ展」を担当。現在、来年の春と秋に開催する展覧会を準備中。

伊丹のお店でルート・ブリュックの特製コースターをGetしよう!

今回のルート・ブリュック展をPRする「コースター型フライヤー」が、伊丹市内のお店に置かれていることをご存知ですか?インタビューの中でもありましたが、コースターの表面にはルート・ブリュック作品のなかでも人気の高い「蝶」(1957年)が印刷され、裏面には展覧会の情報が掲載されています。伊丹版では背景が緑・青・赤の3種類があって、以下の店舗でご飲食等された方に配布されていますよ!

展覧会の行き帰りに、ぜひお立ち寄りください!!(数に限りがありますので、お早めに!)

コースター型フライヤーの設置店舗リスト

my cafe 2015
Taverna Pecorino(タベルナ ペコリーノ)
直球酒場吉田
風丹
pâtisserie usagui(パティスリーウサギ)
クロスロードカフェ
Creo(クレオ)
芦屋 串の助 kura
アンシャンテ
cafe Mon(カフェ・モン)
Mon Cachette(モン・カシェット)
デリカ ロクシナ
Cafe Dinning MELLOW
創作中華 扇
Bar BOILER ROOM
Bar Winner
BURGERSHOP LAND
カフェ CHAIR
ピッツァリア ヒロ
セレクトショップ strato(ストラト)
たんでん
すし善
魚政 しばせん
古書みつづみ書房

インタビューを終えて

インタビュー時間は1時間ほどでしたが、実際に前編・後編の記事を書いてみると、たった1時間の対話の中にこれだけの情報や思いが凝縮されていたことに改めて驚きました。

伊丹に住む私にとって、展覧会のたびに市立美術館で過ごす数時間が、日常の中で何かちょっと知的で特別な時間だということを意識しだしたのは、ここ数年のことです。一見、家のように落ち着いた伊丹市立美術館ですが、その裏には日々戦略を練り、アイデアを絞り、ファンの期待にこたえてきた岡本さんら仕掛け人の存在があります。そして、私も知らないうちに見事にその戦略に乗せられていました。この、美術館の裏側をわずかでも垣間見ることができた、興味深いインタビューでした。

もう一つ、視点を変えると見えてくることがあります。それは、伊丹市立美術館が伊丹の街のトップランナーということです。今、いかにして街に人を呼び込むか、日本中で都市間競争が繰り広げられています。空港に近いという立地を活かしつつ、北海道をはじめ全国からファンを呼び寄せる、時には東京を飛び越えて。そんな曲芸を軽やかに演じてみせる伊丹市立美術館は、まさに街のトップランナーです。

私たちITAMI ECHOも、ローカルメディアとして伊丹の面白さを発掘し、それを内外に発信して、多くの人を伊丹に呼び寄せるきっかけになりたいと考えています。この記事の冒頭のPOINTでまとめた項目。美術をまちづくりに置き換えると、そのまま私たちにとっても大きなヒントになります。これからも、トップランナーたる伊丹市立美術館の動向に注目しながら、私たちもアイデアを絞り、一緒に伊丹の街を楽しくしていきたいと感じました。

現在開催中の展覧会「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」は、10月20日まで。会期が残り少なくなりましたが、新しい発見を求めて、もう一度展覧会に行ってみたいと思いました。岡本さんのように、私も作品に耳をすませたら、何か音楽が聞こえてくるでしょうか?

https://itamiecho.net/special/post-1679/

文&写真:マルコ@ECHO

作品写真提供:伊丹市立美術館

《ライオンに化けたロバ》1957年 

《蝶たち》 1957

《色づいた太陽》1969年

Tapio Wirkkala Rut Bryk Foundation’s Collection / EMMA – Espoo Museum of Modern Art

© KUVASTO, Helsinki & JASPAR, Tokyo, 2018 C2531­

NEWSお知らせ

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