アイホールはどうなるの?

公開日:2021年08月25日

伊丹の演劇ホール「アイホール」

伊丹には、アイホールという演劇ホールがあります(伊丹市立演劇ホール)。1988年、JR伊丹駅西側出口からすぐ、有岡城跡史跡公園横に開館しました。

イベントホール(アイホールウェブサイトより)

最大300席のイベントホールは舞台と客席を自由に設営可能な、演劇やダンスの公演に適したホールで、約10mの吹き抜け空間、35分割昇降床により多様な舞台、客席形式に対応可能、地声が美しく客席に届くといった演劇ホールとしての魅力から、関西のみならず、東京や各地の劇団、演劇関係者に愛され、「関西の小劇場拠点」と言われています。

自主企画公演をはじめ様々な公演が上演されるほか、戯曲執筆講座「伊丹想流劇塾(2016に伊丹想流私塾から改め」や若手劇団などを支援する事業「次世代応援企画 break a leg」、伊丹市内の中高生演劇部を対象とした「アイフェス!! AI・HALL中学高校演劇フェスティバル」、伊丹市内の小中高校へ演劇講師を派遣するアウトリーチ事業なども行っています。市民や子ども、学生向けに、誰でも楽しめるワークショップも開催しています。ITAMI ECHOでも時折、紹介をしています。

サウンディング型調査と署名活動

そんなアイホールについて、2021年7月に「伊丹市が用途転換検討」「民間に新事業のアイデアを募る市場調査を進めている」「存続へ署名活動」というニュースが流れました。

サウンディング型調査という耳慣れない調査、有志による署名活動と動きが進みますが、「アイホール存続の危機?!」「伊丹から演劇文化が消える?!」などといった言葉で一部の情報が独り歩きし、混乱を生じているようにも感じています。

アイホールは本当にすぐになくなるのでしょうか?

アイホールにかかるサウンディング型市場調査について

現段階では、アイホールの活用法を条件設定したうえで、有効活用・採算のとれる事業はどのようなものが考えられるか?など、伊丹市が民間事業者からアイデアを募集し、今後どのような方向で建物の活用を行うか検討を進めるスタートラインにあると認識しています。

また、9月の市議会にサウンディング型調査を踏まえた案が提出されアイホールが演劇ホールではなくなるのでは?という話も耳にすることがありますが、これも、スケジュール的に非常に厳しく、難しいように思っています。

では、なぜ今回のようなサウンディング型調査を行うことになったのでしょうか?

サウンディング型調査を行う理由

要約するとポイントは2つ、お金と市民利用率です。

特にお金は切実な問題だと思います。 お金の問題とは、アイホールの指定管理料として運営者に毎年9,000万円ほどのお金を伊丹市が負担し続けなければならないことです。また、お金の問題(資金不足)はアイホールに限った話ではありません。

お金が潤沢にあった設立当時1988年と環境は大きく変化しています。限られた税収から各種市民サービスに予算を割り振るうえで、伊丹市として将来、税収が右肩上がりで支出を上回ればよいのですが、将来は特に医療費等の急増が予測され、税収も右肩下がりが危惧される状況です。工夫なしに今まで通り指定管理料の負担を!とお願いしても難しい話だと思います。

逆に、収益構造を改善することで「指定管理料をゼロにできます」という事業者が演劇関係者の方から現れれば、アイホールを演劇ホールとして活用し続けることが出来るのでは?と考えてみたりもします。

「指定管理料なし」というのは極端な話としても、伊丹市のウェブサイトで公開されている参考資料の関連データ(施設運営コスト、各部屋の稼働状況及び歳入)を確認すると、工夫できるところがありそうにも思えます。

また、今回の署名活動で市内外から沢山の署名が集まっていると聞きますが、それであれば、ピンチをチャンスに、この機会にアイホール友の会(ファンクラブ)を設立し有料会員を募るなどしてはどうだろうか、工夫次第で会員収入に加えて有料会員から新たな演劇ファンを広げることが出来るのではないだろうかとも考えます。

当事者が意識をもって取り組めば出来ることはまだまだあるような気がします。

サウンディング型調査について

ところで、このサウンディング型調査については、「アイホール存続危機」というニュースを見たときに初めて知り、まるで、降ってわいたような印象を受けましたが、平成30年(2018年)に、国土交通省の官民連携事業のサウンディング型調査に参加、実施されていますので、指定管理者等関係者の方々はご存じであったことと推測します。

アイホールサウンディング案件登録様式の④サウンディングの目的を見ると、アイホールの施設等の老朽化が進んでおり、近い将来大規模改修工事が必要で、その改修を期に事業スタイルの検討を行い事業を進めることが必要と記されています。

そして、今回、伊丹市として7月にサウンディング型調査募集が行われ、8月20日に伊丹市ウェブサイトにて経過報告が公開されています。

アイホールの価値や意義、存続について

伊丹市外から多数のひとが訪れ、市内に向けた貴重な取り組みも行うアイホールについて、ITAMI ECHOを運営する私たち(株式会社echo fields)は、市民利用率だけでは測れない存在意義や存在価値を感じています。

「芸術文化」からのまちづくりを推進する伊丹市にとって、演劇界から圧倒的な支持を受けるほどの演劇ホールは貴重な施設で、アイホールの存在が伊丹のまちや市民にもたらす効果、影響は直接的ではなくても大きなものがあります。

市民の誇りを生み、「アイホールを目的に伊丹に行く」「アイホールがあるから伊丹を知った」というひとたちや伊丹の芸術文化面を評価して伊丹へ移住するひとたちがいる現状を見ても、なくしてしまうのはとても残念に思います。

しかし同時に、存続するためには、公共施設とはいえども、存続を危ぶむ理由や課題、その解決については避けては通れないとも思っています。

今は、署名活動が行われ、アイホール存続を望む方々の声を集めている段階ですが、署名活動のあと、存続できるためにどうしたらいいのか、課題をクリアにする方法はどんなことなのか、私たちにできることはあるのか、そう考えますが、今は考えることしかできていません。また、私たちが考えたところでどうにかなることでもないのかもしれません。

ただ、存続するためには、存続を阻む課題を解決する道を探ることが必要不可欠だと思います。

まずは、「アイホールを残したい」という声を署名にしたいという方は、署名用紙やウェブで行うことができますので(8月27日まで)、下記をご参考ください。(署名は延長中。期限未定)(署名は終了しました/12月24日)


署名用紙の配布・提出場所
クロスロードカフェ古書 みつづみ書房株式会社echo fields
市外
用紙ダウンロード

ウェブでの署名
署名フォーム

アイホールの存続を望む会(概要・各種ダウンロード)


声を届けたそのあとのこと、引き続き考えていきたいと思います。


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