公開日:2025年08月15日
2025年度伊丹市シティプロモーション事業の一環で実施した市内子育て層対象のリポーター講習会受講者による取材記事です。
伊丹市で、市立中学校にも給食が導入されて8年。また、2024年度からは無償化となり、成長期の子どもたちの「食」と子育て家庭を支える仕組みとして、大きな役割を果たしています。
私自身は、現在27歳と23歳の子どもたちが中学校進学と同時にお弁当作りが始まり、高校生活と合わせると11年間、朝の戦争?を経験してきました。
ただでさえ慌ただしい時間に、お弁当を2つ、しかも長男のお弁当箱はおかずを詰めても詰めても隙間があり、ご飯も一度に2合ほどぎゅうぎゅう押しこんで……。生活費の中に占める食費の割合もバカにならない、振り返ると懐かしくもあり、厳しくもあり(笑)
一時期、小学校の給食費について議論がなされたこともありましたが、今では全国の約9割の公立中学校で給食が実施され、更に約3割の自治体で無償化が取り入れられているとのこと。
そもそも学校給食とは、「日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと」などを目的とし、無償化にすることで、少子化対策も視野に入れた施策ととらえられています。
時代の移り変わりを感じるとともに、全国でもいち早く施策に取り組んだ伊丹市で、今まさに子育て真っ最中のママに、この「公立中学校給食無償化」についてお話を伺ってみました。
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伊丹市で4人のお子様を育てながら、バリバリとお仕事もされているワーキング・マザーのクミさん。
高校3年生のご長女が中学校に入学した時は既に給食があり、3人目のお子様から、無償化を経験されているとのこと。
給食費について、有償無償の両方を経験されている、クミさんが感じている「学校給食」とは…… 。
中学生にも給食が当たり前になりつつある昨今。さらに「無償化」の動きが進むなか、家庭にどのような影響を与えているのでしょうか。伊丹市で子育てをしてきたママの声から見えてきたのは、給食がただの“食事の提供”ではないという事実でした。
クミさんをはじめ、お友だちの働くママたちの多くが口をそろえて言うのは、「朝のお弁当作りから解放されたことが何より大きい」ということ。
「給食があるから朝ゆっくりできる。弁当が3つあった時期は本当に大変だった」「朝早く出勤する前にバタバタとおにぎりを握っていた頃とは生活が違う」といった声があり、給食は単なる食事提供を超えた“生活のゆとり”を生んでいます。
「ご飯に牛乳は……という不満はあっても、栄養士さんが考えたメニューはやっぱりありがたい」
「家では出せない多国籍メニューが出てきて、子どもが楽しみにしている」
こうした声からは、給食が食育や偏食の改善にもつながっている様子がうかがえます。
さらに「うちの子は毎日おかわりするぐらい食べてて(笑)」というエピソードも。反対に「食が細い子は結構残している」という声もあり、クミさんは食品ロスについての取り組みが必要では、と話されていました。
給食の無償化により、「1人5,000円の給食費が浮くこと」は、家計への直接的な支援になります。
「その分、塾代や習い事に回せる」という具体的な実感が、子育て世代にはあるようです。
中学生になると、高校受験を見据え、当たり前のように通塾が始まります。
文部科学省の「2021年子どもの学習費調査」によると、中学1年生で平均年間15万円、3年生だと40万円ほど出費になる、とのこと。
更に今後、部活動の地域移行により、子どもの教育費はが増えることが予想されています。無償化は、子育て世代の家計にとってありがたい制度ではないかと感じます。
また、家庭の事情により十分な食事がとれない子どもにとっては、学校給食が“命綱になることも。
支援を必要としている子どもは、5人に一人……と言われています。
更に「不登校気味でも、給食だけは食べさせてほしいと学校に連れてくる親がいる」との現場の声からは、給食が単なるサービスではなく、「教育と福祉のセーフティネット」としての役割を果たしていることが伝わってきます。
前述の、食べ残し問題。私が子どものの頃と違い、現代はアレルギーや嗜好など、一人ひとりの個性に対応しており、完食を強要されない世の中です。
「食べ残しの量が多くて、もったいないと思う」「好き嫌いで手をつけない子がいて廃棄が出る」など、無償化(食のありがたみが薄れる)≒無駄が増えるという懸念もあります。
また、財源の問題も避けて通れません。「給食が無償になっても、部活の外部委託でかえって出費が増えるかも」という声もあり、全体のバランスを見ながらの制度設計が求められます。
「有償でもいいから、給食は継続してほしい」
「お金を払ってでも、自分で作るよりずっとありがたい」
そう語る、ママの声には、給食制度への信頼と感謝が込められています。
共働き家庭が当たり前になった今、「子どもの「食」を社会で支える仕組み」として、給食の役割は今後ますます大きくなるでしょう。そこに「無償化」という、行政のサポートが加わることは、未来を担う子どもたちへの、確かな“応援”でもあると感じました。
伊丹市教育委員会事務局学校教育部中学校給食センター
伊丹市北本町3-45-1
TEL:072-784-8045
Written by ひろりん