公開日:2025年05月16日
今年はサクラの花が例年より長持ちしてお花見もゆっくり楽しめたのではないでしょうか。
伊丹市内ではサクラが終わるとツツジ、フジ、ハナミズキなどが咲きだします。
私は虫を探して散歩する時、まず花を見つけ観察することにしています。花の蜜や花粉を求めて虫がやってくるからです。
市内を流れる猪名川河川敷は野球やサッカー、ジョギングに散歩、サイクリング、自然観察などなど多くの方が訪れる場所、私のいつもの散歩コースです。
その河川敷を彩る花、4月から5月は黄色と紫色の花が特に幅をきかせています。
黄色はセイヨウカラシナ(アブラナ科)、菜の花の仲間で中央アジア原産とされ、種子からマスタードを作ることもできるそうです。
花に顔を近づけるととても良い香り、私にはハチミツの香りに感じるのでとても幸せな気分になります。
そして、紫色の花で最近特に勢いが良いのがナヨクサフジ(マメ科)。こちらも外来の植物で、英名はヘアリーベッジ(Hairy Vetch)と呼ばれます。香りはあまり感じませんが、ぱっと見繊細で綺麗な花です。
この2種類の花はチョウやハチたちに人気のようで、花の近くでしばらくじっとしていると蜜を吸う姿、花粉を集める姿が観察できます。
チョウもハチも人が近づくと飛んで逃げていきますが、食事に夢中になっている時はじっくり観察させてくれます。
ストローのような長い口を花の奥にさし込み蜜を吸うチョウ。花につかまり花の奥を覗き込むようにして蜜を吸うハチ。
よく見ると虫たちの体には黄色や白色の花粉がついています。花から花へ飛び交い蜜を吸う間に、花粉を運び植物の受粉を助けているのです。
ハチの仲間にはこの花粉を集めて幼虫たちの餌にしているものもありますが、全ての花粉が食べられるわけではなく、しっかり受粉を助けています。
河川敷の黄色と紫色の外来植物。いつ頃から在来の植物にとって代わったのでしょう?以前はどんな花が咲きどんな虫が来ていたのでしょう?花と昆虫の関わりも時代とともに変わっているのかもしれません。
セイヨウカラシナが終わりを迎える5月頃、河川敷はノイバラの白い花と上品な甘い香りに包まれます。こちらは在来の植物、人々の目を楽しませる園芸バラの原種とされます。
チョウやハチはもちろんハナムグリやハナカミキリなどにも人気の花で、葉を食べるハバチやハムシなどにも出会えますそんな花にやってくる虫を狙ってカマキリやらヤブキリやらハナグモなど肉食の生きもの達も集まってきます。
河川敷の花と虫たち、気軽な散歩をより楽しく発見に満ちたものにしてくれる観察対象です。
過去にも紹介しましたがそんな猪名川河川敷でホタルが見られるのをご存知でしょうか?ヒメボタルという可愛らしい種類、小さく明るいLEDのような光をチラチラと点滅させ私たちの目を楽しませてくれます。
伊丹では5月の中下旬がシーズン、ご興味のある方はこちらをご覧ください。
一昨年の私の記事でもヒメボタルを紹介しています
館にお越しの際は、虫の声も楽しんでいってくださいね!
伊丹市昆虫館 野本康太
伊丹市昆虫館
伊丹市昆陽池3-1昆陽池公園内
TEL:072-785-3582
開館時間:9:30~16:30
休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日休)
Written by 伊丹市昆虫館