公開日:2022年03月14日
春が近づいてきましたね。
日差しの明るさで、日本人という生き物は体の奥から何やらもぞもぞとくすっぐたいようなものがこみ上げてきます。
虫だって地中から出てきちゃう。人間だって、心が躍りだす季節です。
街には新生活応援とかフレッシュマンフェアなんて文字が掲げられ、人は新しい環境を迎える準備の真っ最中。
そして、テレビ番組も一新する季節です。
私にも毎週楽しみにしていた番組がありました。
Eテレ、木曜日の夜9時。帰宅していればいそいそとテレビをつけるのですが、冬季オリンピックが終わったらその番組のシーズンが終わっていました。
「あれ?」
お気に入りのその番組は「ソーイング・ビー」。
イギリスのお裁縫バトル番組です。もう少し正確に言えば、複数の出場者が時間内にお題の服を作って審査を受け、優秀な人が残っていき最後にはチャンピオンを決める番組です。
与えられる時間は長くない。最初の生地選びの時にはジョークも飛び交い余裕な空気ですが、残り時間〇〇分と言われるたびに言葉が少なくなり、あと5分なんて言われたらこちらもドキドキ。思わず「がんばれー」。
「テーブルクロスを使った子供服」「レインコートのリメイク」「正当なイブニングドレス」などお題は様々。
登場人物も個性豊かです。人種、性別、年齢、職業もバラバラ。
例えば、女医、整備士、聴覚障がい者、警察官、自分の子どもや孫の服を作り続けてきた専業主婦などなど。
そして毎回、必ず複数名の男性がいる。どちらの性かわからない人もいる。
バトル後半になるとモデルに着せる放送回もあって、それが従妹だったり職場の同僚だったりママ友だったり、同性の恋人であったり。
日本ではSDGsが大はやりですが、こんな番組を見ているとまだまだだなあと感じます。
次はシーズン5。放送はいつからかなと思ううちに春が来ました。
ということで、今日の絵本はお裁縫に関したものしようかなと「私のワンピース」も考えたのですが、やっぱり春にちなんだもがいいなと。
『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』
間瀬なおかた(文・絵)
幼稚園や保育園ではわりとポピュラーな本です。図書館には大型絵本もあるはず。
この絵本の特徴は、前から読んでも後ろから読んでもストーリーがつながるところです。
雪のちらつく山の駅から菜の花の咲く海の駅まで、ページをめくるごとに出てくるトンネルを抜けると様々な違った景色が広がります。
まさに「トンネルを抜けると雪国であった」を絵本にした感じで、常夏の国では考えられない、四季のある日本ならではの1冊。
冬と春の間にはこんなにも豊かな表情があることを、小さな読み手にもよくわかるように描いています。
間瀬さんは「乗り物と人」の絵本を数多く作られていますが、乗り物だけではなくそこに人の営みがあるから人気を博すのだと思います。
『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』も間瀬さんらしい愛らしいタッチの絵の中に、車内のお客さんの様子をはじめ、鉄橋の下の釣り人、雪山で遊ぶ子どもなどを探すのも楽しみの一つ。
印象的な電車の音も、場面によって違うんですよね。
デデンドドンはお子様が口にしやすいリズムのあるオノマトペ。
保育園では「それでは電車が出発しまーす。行きさきはトイレ駅ートイレ駅ー。皆様、お乗り遅れのないようにご注意願いまーす。デデンドドン」なんて使ったりもしています。
大人の方もこの電車に乗って、楽しいことをいっぱい発見してみてくださいね。
Written by カワセミ
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