インタビュー|クロスロードカフェで作品展開催中!アフリカンワイヤー&ビーズアーティスト「ZUVALANGA」

公開日:2022年06月20日

6月1日(水)より、クロスロードカフェで「ZUVALANGA(ズワランガ)」のアフリカンワイヤー&ビーズアート作品展『One 』-共に在る世界-が開催されています。

展示については、先日『ITAMI ECHO』でもご案内しましたが、今回、クロスロードカフェでお話を伺うことができました!

ーまず最初に、アフリカンワイヤー&ビーズアートとの出会いはどんなものだったのでしょうか。

ZUVALANGA:2011年に南アフリカに滞在する機会があり、そのときに興味を持ったのがこのアートです。南アフリカに行くと、空港やマーケットなどにもこのアートが溢れていて、それで興味を持ったのが始まりです。

もともと動物が好きだったのもあって、動物をモチーフにしたアフリカンアートにすごく興味を持ちました。面白そうだなというところから、後に師匠となるジョセフさんという人と出会い、工房に通うようになりました。

ーそうなんですね。元から手芸やアート制作などをされていたんですか?

ZUVALANGA:それはしていなかったのですが、ものづくりということに興味はあって。ビーズにもそれまで興味はなかったですから、このアフリカンアートに出会って初めて興味を持ったという感じです。

見た目は華やかで可愛らしいビーズアートですが、わたしがカメラを持ってずかずか入って行ったので、急に知らないアジア人が来た!ということで、職人の人は最初は怒ってしまって怖かったですね。入ってくるな、工房を撮るな、帰ってくれ!と。

ーそれはちょっと怖いですね。わたしならくじけてしまいそうですが、それでも工房に通い続けられたのはどうしてですか?

ZUVALANGA:アートもですが、工房の職人さんや、わたしの師匠のジョセフさんに興味があったんです。少しずつ話をしていって。

わたしは南アフリカのヨハネスブルクで出会いましたが、もともとアフリカンワイヤー&ビーズアートはジンバブエのストリートで生まれたもので、彼らもジンバブエ人なんです。ただマーケットは南アフリカが大きいんですね。

最初はアートの可愛さ、華やかさだけに惹かれて行ったのですが、最初は知らなかったそんな事情を知って、彼ら自身をもっと知りたいという気持ちが強くなりました。とにかくこの人たちのことを知りたいと思って、通って通って……。日本酒やお寿司やたこやきなんかを持って通って(笑)、徐々に打ち解けていってくれました。

ずっと立ち話でしたが、日陰を勧めてくれるようになって、次は「コーラ飲むか?」と聞いてくれたりするようになって。「ビール飲むか?」と聞いてくれたり、10ヶ月ほど通い続けて、ラジオペンチでつくるアートなので、ラジオペンチ持ってきていいよ、と。「隣にいていいよ」という許可をもらった瞬間があり、そこから彼らを見ながら、一緒に作り出しました。

師匠のジョセフさん、今は亡くなってしまいましたが女性アーティストのプメザさんという方がいたのも大きかったです。他の人は最初怖かったのですが、このお二人だけは笑ってくれて、遠くから来た日本人、アジア人に興味を持ってくれたんですね。それは大きかったと思いますね。

でも後でジョセフさんが来日して腹を割って話したときに、最初はうっとうしかったわー!って(笑)買ってくれるお客さんだからにこにこしてたけど……と言ってました。でもわたしも、「See you next week!」と言ってくれるからまた行って(笑)。そこでまた一生懸命手伝うから、徐々に認められた感じです。

ーなるほど。アフリカンアートへの情熱が認められたわけですね!そこからどのようにご自身でアートを制作しはじめたのですか?

ZUVALANGA:毎週来るならやってみるか?みたいな感じで仕事を手伝うようになりました。学ぶというより、お仕事を手伝うという感じでした。アートでもありますが、彼らにとっては生活の手段でもあるわけで、工房はすごく忙しいんです。そんな工房の職人が作り出すストイックな雰囲気と、作り出されるユニークなアートのギャップがわたしにとってはとても魅力的でした。

例えば、スーパーに並んでいるタバスコみたいな辛いソースの瓶に期間限定のおまけとしてつけるチリのビーズアートを何千と作ったりとか。だから結構忙しくしていて。それをちょっと手伝うというところから始めました。向こうの人にしたらすごく身近なアートです。

ソースの瓶におまけでついているチリのビーズアート

ー身近というのは、例えば現地の普通の人が自分で買ったりとかそういう感じですか?

ZUVALANGA:買うのは主にヨーロッパから来る観光客で、観光客向けのお土産という位置づけですね。南アフリカは観光大国で、ヨーロッパとは季節が逆なので、ヨーロッパが寒くなるとたくさんヨーロッパから観光客が来ます。ワインもおいしいし、サファリもあるし。観光客にはアフリカモチーフのキリンやカバなどが人気がありましたね。もちろん南アフリカのアートとして定着しているので、それで売れたりもするのですが。

ーそこで日本に帰ってから作品の発表を始められたということですね。自分が日本でアフリカンアートをやっていかなきゃ!というような使命感があったのでしょうか。

ZUVALANGA:いえ、全然そんなものはなくて(笑)南アフリカで作りためた作品がたくさんあって、友人に面白いから作品展をしてみたら、と言われたんです。

でも当時は、こんなん誰が見るの?と思っていたんです。自分が好きな動物を、自分がただ好きで、自己満足で作って。自分としては魂込めて思いをぎゅっと入れたけど、でもこの作品、誰が見るの?っていう感じで。

でもやってみたら、驚くほどお客さんの反応が良くて、びっくりしました。みんなこれをいいと言ってくれるんだっていうことがわかって。師匠たちにそれを伝えたらとても喜んでくれて。アートだけではなくて、師匠たちとの交流も面白いから、そういうものも含めて展示してみたらいいんじゃないとアドバイスしてくれた方がいて、それで紹介してくれたのがクロスロードカフェでした。

クロスロードカフェ

クロスロードカフェ(ピロン):作品展に行ったら、作品と眼が合ってしまって(笑)。それでここで作品展をやってもらいました。

ZUVALANGA:ピロンさんがうちで個展をと声をかけてくれて。最初は怖かったけど(笑)めっちゃまじまじと見てくれるから、何言われるんだろう?と思って。シェフがガーナの方というのにも何か縁を感じました。

前回2回の展示は、コロナ前だったのでジョセフさんも日本に来てくれました。

2019年10月開催時のフライヤー画像。壁面に大きな象の作品がかけられた。

ーその後、他にもいろいろな場所で展示をされているんですよね。国立民族学博物館(みんぱく)でも展示をされたとか。

ZUVALANGA:はい、みんぱくでも展示をさせていただきました。みんぱくでビーズの研究をしている先生を運良く紹介してもらえて、ちょうどジョセフさんも日本にいたので、自信作のビーズアートを抱えてその先生に会いに行ったんです。

そうしたら、たまたま翌年に開催される世界のビーズ展の構成を考えているところだったんです。そこにわたしたちがでっかいカバとシマウマのビーズアートを抱えて行ったもんだから、それを見て先生がすごく興奮して、これはもう絶対置きましょう!と(笑)。その場でその作品を預けて帰りました。そこで初めて、「わたしビーズを使ってるんや!」と気づきました(笑)。

民族学博物館開館40周年記念特別展「ビーズ―つなぐ・かざる・みせる」図録

ーなんと!それまではビーズアートという意識はなかったんですね。

ZUVALANGA:そうですね、面白い職人のおっちゃんたちというところから入ったので、材料を気にしたことがなくて、ビーズを使って制作しているという意識がなかったです。この世界のビーズ展に参加して初めて、ビーズの歴史などを勉強しました。

例えばこれが木彫りだったとしてもやっていたと思います。ただこのカラフルな粒という素材には惹かれていたのかな、と今となっては思いますね。ビーズのことを勉強して、歴史的なアフリカとビーズのつながりを知っていって、日々面白くなっている感じです。

ークロスロードカフェでは今回で4回目の個展となりますが、今回のテーマはどういったものでしょうか。

ZUVALANGA:2019年以来、クロスロードカフェでは久しぶりの個展で、ここはお気に入りの場所なんです。

今回の個展のタイトル『One』はU2の曲『One』からインスパイアされたものなんです。師匠のジョセフさんもU2が好きで、今回の個展のタイトル『One』もいいねと言ってくれました。

3年前にジョセフさんが日本に来ていたときにたまたまU2が来日していて、サプライズプレゼントとして一緒に埼玉までライブにも行ったんですよ。

「One」は「ひとつになる」というようなことなのですが、それって全然簡単なことではなくて。

わたしたちはお互いにちがうし、でこぼこがあるんですが、それでも一緒に、ひとつになって生きていくしかない、というメッセージです。重たいメッセージだけど、でこぼこを背負いながら、それでも一緒になってやっていくしかないよねという。最後に少し希望が見えるような。

今回の個展でいちばん大きな作品であるバッファローは、この「共に生きていく」というメッセージを丁寧に表現できないかと思って制作しました。

クロスロードカフェ店内に設置されているバッファローの作品

ー確かにこのバッファローは、今回の作品の中でもひときわインパクト、迫力があります。

ZUVALANGA:このバッファローは、わたしが南アフリカで実際に出会ったバッファローです。群れから離れたおじいちゃんバッファローで。なので出会ったときにいた鳥も一緒にいて、その出会った瞬間を切り取っている感じです。バッファローは仲間意識が強く身を守るために群れで行動するので、そこから離れるということはすごくリスキーなことなのですが、それも受け入れて悟っているように見えました。

そのバッファローの覚悟と、それとは別に、そんなことはお構いなしに鳥たちはにぎやかに生きている。お互いがお互いをただ生きて、受け入れているというのが印象的で、その瞬間を切り取った作品なので、その向こうにある世界まで感じ取っていただけたらすごくうれしいなと思います。

ーこのバッファローは、制作にはどれくらいの時間がかかったんですか?

ZUVALANGA:構想1年、作業は半年という感じですね。特に眼はこだわりがあったのもあり、時間がかかりました。草食動物独特の眼差しを表現するのが難しく、目の玉をいくつも作って調整しました。

ーすごく重たそうですよね何キロくらいですか?

ZUVALANGA:全体では22、3キロです。パーツを取り外しできるので、わたし一人でも運べるんです。台は黒木テックさんにお願いして、イメージ図とバッファロー本体を持っていって、それを参考に作ってもらいました。

設置台は黒木テック社(伊丹)が制作

クロスロードカフェ(ピロン):お客さんの様子を見ていると、近くで作品を見られるということがすごいんだなと感じます。みんないろんな見方をして、耳を覗き込んでみたり……。

ー今回の個展でお客さんの反応はどうですか?

ZUVALANGA:いろいろな見方をしてくれる人がいるのがとてもありがたいです。場所もギャラリーではなくカフェだからか、見てくれた人が気軽に感想を言ってくれて。作品の大きな部分を見てもらってもいいし、ビーズひとつひとつを見てもらってもいい。何回でも来てもらって、楽しんでほしいと思いますね。

作品は購入可能。
キーホルダーやブローチなどの小物もあり。

ー最後に、今後の活動の目標など教えていただけますか?

ZUVALANGA:アフリカとつながっていたいですね。ジョセフさんにも日本に来てもらいたいですし。他にも師匠は何人もいるので、その方たちにも日本に来てもらったりしたいです。

自身のアート制作としては、大きな作品、メッセージのこもった作品を作っていきたいです。ビーズアートの可能性を追求したい。たとえばセンザンコウという動物は、絶滅危惧種なのですが、これをビーズアートにして絶滅の危機を伝えているアーティストもいます。自分ももちろん制作していくのですが、こうした作品を紹介していったりもしたいと思っています。

ーいろいろなお話を伺えてよかったです!

南アフリカについてもビーズアートについても全く知らなかったのですが、アフリカンアートの職人さんたちのこと、ハンティングのこと、バッファローなどサファリの生き物のこと……、さまざまなことを「ZUVALANGA」の言葉でストレートに語っていただき、知ることができました。

何より、「ZUVALANGA」自身の繊細で芯のある感性と、ダイナミックだったりポップで可愛かったりするアフリカンアートに触れることのできた貴重な時間でした。本当にありがとうございました!

個展は7月11日(月)までの開催です。是非足を運んで実際に目で観てみてくださいね!

在廊予定など最新情報は、「ZUVALANGA」Facebookページで確認いただけます。

ZUVALANGAブログ「African Beads Art -見上げる空にアフリカの夢-」も是非ご覧ください。


開催概要

ZUVALANGA アフリカンワイヤー&ビーズアート作品『One』ー共に在る世界ー

開催期間

2022年6月1日(水)〜7月11日(月)
11:30~20:00

会場

クロスロードカフェ
伊丹市中央3-2-4
TEL:072-777-1369
定休日:火曜日・第3月曜日

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