5月10日(月)NHK Eテレ『グレーテルのかまど』で作家の田辺聖子さんが取り上げられます!

公開日:2021年05月09日

NHK Eテレで毎週月曜日22:00〜22:25放送の番組『グレーテルのかまど』。俳優の瀬戸康史さんが様々な物語や作家にちなんだスイーツを紹介する人気番組ですが、今週5月10日放送の回では、2019年に亡くなられ伊丹の名誉市民でもあった芥川賞作家の田辺聖子さんが取り上げられます!

今回の番組テーマは「田辺聖子のしんこ細工」

田辺聖子さんの『しんこ細工の猿や雉』(文春文庫)という自伝的著作のタイトルからのテーマです。

しんこ細工とは、上新粉を蒸して作った餅を指やはさみで動物や花などに形作ったお菓子のこと。とても可愛いですね!

田辺さんは『しんこ細工の猿や雉』の中で、芥川賞を受賞して作家として認められたときの気持ちをしんこ細工になぞらえてこう書いています。

「パーティを二つ重ねて、私には、やっと、人に「おめでとう、作家にならはって」といってもらうのが身に沁みた。しかし私には、作家になったという覚悟も実感も湧かず、ただ目も鼻もない、しんこ細工の塊まりに、ちょいちょいと切れ込みや丸みをつけられて着色されて出来上っていゆくサルやキジを思い浮かべるだけである」

『しんこ細工の猿や雉』は『田辺聖子全集1』にも収められている(集英社ウェブサイトより)

しんこ細工は、かつてはお祭りの縁日で屋台が立ち、子どもたちにとっては身近なものでした。現在ではあまり見かけることがありませんが、生涯可愛いものが大好きだった田辺さんにとっては、幼い頃から親しみ、青春自伝的な著作のタイトルにするほど愛したものだったのでしょう。

ちなみに田辺さんが伊丹市に居を移したのは1976年、40代になってからのことでしたが、戦争中は伊丹の『郡是』(現・グンゼ株式会社)へ学徒動員で働き、寮生活を送っています。『しんこ細工の猿や雉』の中には、この伊丹での寮生活のことも書かれており、幼い頃から作家に憧れた田辺さんが、ノートに小説を書いて「田辺聖子作」と表紙をつけ、寮仲間に読ませた「著者ごっこ」の様子もいきいきと描かれています。

精力的に多方面で仕事をされた田辺さんの、作家になるまでの道のりを知ることのできる一冊です。

『ITAMI ECHO』過去の田辺聖子さんコラム記事はこちらです。

今回紹介した『しんこ細工の猿や雉』は、伊丹市立図書館で借りることができます。今回の『グレーテルのかまど』の放送と合わせて、ぜひこの機会に読んでみてください。

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