公開日:2026年07月10日
「活字離れ」「本離れ」に待ったをかける、伊丹市を舞台にした前代未聞のコラボレーション企画が始動!
2024年に『バリ山行』で第171回芥川賞を受賞した作家・松永K三蔵さんによる書き下ろし小説『カモG(かもジー)』の完成披露発表会が、7月8日(水)、伊丹市立図書館ことば蔵で開催されました。
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『カモG』は、伊丹市民なら誰もが知る、昆陽池公園の野鳥の島(日本列島)が舞台。全5話構成の連作小説です。
しかも、配布場所が市内図書館と市内の書店を交互に巡るという独自の仕掛けも盛り込まれています。


その完成披露発表会は、松永さんの登壇もあって、平日にもかかわらず、交流フロアに溢れるほどの来場者。
期待の高さがうかがえます。


発表会の冒頭では、中田慎也市長より挨拶がありました。

現在、社会的な課題となっている「活字離れ」「本離れ」。兵庫県下でも41市町のうち3つの町で書店が一つもない事態になっていることに触れ、本プロジェクトへの熱い想いが語られました。
今回発表された小説『カモG』は、全5回に分けて配付され(連載形式)、しかもその入手方法がとってもユニーク!
第1回・第3回・第5回は、市内図書館で配布し、第2回・第4回は、市内の本屋さん(書店)で入手可能という配布スケジュール。
「できる限りたくさんの方々に市内の本屋へ足を運んでもらいたい。伊丹の子どもたちに自分の街をもっと知ってほしい」と話す中田市長。
ただ本を読むだけでなく、街を巡るアクションへと繋がるチャレンジングな企画となっています。

発表会は、伊丹市吹奏楽団のトランペットカルテットによる華やかなファンファーレで始まりました。


松永さんは、作品の執筆に至った経緯や作品の紹介、裏話をお話されました。
「活字離れ」「本離れ」については、「私も本を書いているので、人が本から離れるのは困ってしまう」「盛り立てていきたい」とと話し、伊丹市からお声がけをいただき、ありがたかったと語る松永さん。

松永さんは、「何を書こうかな」と思われたそうですが、「面白くなければ、図書館や書店には行かない」「本離れを食い止めるために、図書館や本屋さんに行ってもらうという目的を果たすためには、途中で『もういいわ』と思われない面白い作品にしなければならなかった」「私にとっても非常にチャレンジングな企画」と話します。

そして、純文学作家としての挑戦の中で着目したのが、昆陽池公園にある「野鳥の島」でした。
「西宮や宝塚に住んでいたこともあり昆陽池公園を知っていた」と話す松永さんですが、Google Mapで昆陽池を見た際、島が「日本列島の形」をしていることに改めて気づき、「これやな!」と確信したそう。

伊丹空港から離陸する飛行機の窓からしかその形がわからず、しかも普段は立ち入り禁止の無人島。
「面白すぎるやん!」と思った松永さんは、特別に許可をもらって伊丹市のみどり自然課や野鳥観察グループの協力のもと、特上陸取材を行ったエピソードを披露されました。
「上陸すると、鳥ばっかりで大騒ぎになるんですよ。ごめんなさい皆さんちょっと失礼しますねという感じで(笑)」
「島の中には川や巣もあって、街中とは思えない景色が広がっていました」
と話します。

本作の主人公は、4月に伊丹市の危機管理室に配属されたばかりの新入職員、坂本敬吾。

彼が突如下されたのは、「野鳥の島(日本列島)で13日間野営せよ」という謎の業務命令!
お風呂にも入れないし、島の中で暮らせというミッションに、「なんでなん?」という謎を追いかける物語です。
作中には、伊丹にまつわる「4つの謎」が散りばめられているとのこと。

野鳥の島はなぜ日本列島なのか。
これについては、1972年〜1973年頃に職員のアイデアで作られたとされているそうですが、「本当にそうかな?」と思った松永さんなりの謎解きが用意されているそう。

昆陽池公園入り口にある、細かく記録された野鳥情報の看板。松永さんは、「これがなぜか怪しく思えた」ということで、謎に!

有岡城城主・荒木村重はなぜ織田信長を裏切ったのか?
日本史のミステリーを新設として物語に絡めています。

無人島でのサバイバルを描きつつも、公務員としての労働基準法や業務規定の枠組みをカバーしながら、(一時離脱してご飯を食べに行くなど)リアリティを持たせて労働を描いているのも見どころです。

質疑応答では、報道陣から様々な質問が寄せられました。

松永さんは、民間企業とは違う仕事のあり方や、ボーナス時期の感覚など、公務員のリアルな働く姿を描くことで読者に共感してほしかったからと話しました。
取材場所については、市内の様々なスポット、例えばお店や空港周辺なども回って、物語の中に散りばめているとのこと。
執筆時は歌のないBGMをよく聞いてるそうです。
一番好きなスポットはやはり昆陽池公園とのことで、夜も知らない表情があり非常に不思議な感覚がしたそうです。皆さんにもぜひ小説を読みながら訪れてほしいと語りました。
松永さんは、「純文学とは、自分たちが生きている世界や人間の本質と正面から向き合うことだと思っています」と回答。
「主人公が抱えるキャリアへの悩みや挫折感、恋愛といった日常の葛藤は、誰しもが共感できる普遍的なもの。特定の場所に根ざしながら、働く人々の見えない苦労を描くことで、読者一人ひとりに自分ごととして捉えてもらえるよう工夫した」と話しました。


第1話は7月9日から配布スタートでしたが、発表会の最後に、来場者へ一足早く松永さんご本人から第1話が手渡しされることに!



まずは市内の図書館で第1話を手に入れて、松永さんが仕掛ける「伊丹のミステリー」に足を踏み入れてみませんか?
そして、次の展開が気になったら……ぜひ、伊丹市内の「本屋さん」へ!
伊丹のまちを巡りながら物語を追いかける特別な読書体験を、ぜひ楽しんでください。
リンクは所在地(Google Map)






2026年7月9日(木)から市内図書館各館で無料配布(配布スケジュール・場所)
松永K三蔵(まつながけーさんぞう)
Kはミドルネームです。
1980年茨城県生まれ
関西学院大学文学部卒業
2021年 第64回群像新人文学賞優秀作「カメオ」でデビュー
2024年 「バリ山行」で第171回芥川龍之介賞受賞
西宮市文化芸術特別賞
茨城県特別功労賞
いばらき大使
ふるさと日立大使
日本文藝家協会所属兵庫県西宮市在住
松永K三蔵さんウェブサイトより


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